入学式,卒業式でスピーチ挨拶する校長、PTA会長祝辞と保護者代表謝辞、来賓との立場やあいさつ文書き方の違い
入学式,卒業式でスピーチ挨拶する父母の代表には、PTA会長と保護者代表(あるいは父母代表,父兄代表)が居ます。また、入学式,卒業式でスピーチ挨拶する人として、他に校長や来賓もいます。
(卒園式での幼稚園児,保育園児の場合は短いフレーズですが、小学生や中学生、高校生にもなると、卒業式で在校生代表の送辞と卒業生代表の答辞という児童,生徒相互の挨拶も加わります。)
役割に相応しいあいさつ文を完成できるように、それぞれの立場やスピーチ挨拶文の書き方がどう違うのか、まず、この基本中のキホンを把握しておきましょう。
【凡例】
1.スピーチ挨拶の呼び名
2.スピーチ挨拶の当事者(私,私たち)は誰?
3.式における立場
4.誰に聞かせるの?
5.用紙は何が良いの?
6.挨拶後、用紙はどこへ?
7.一言で言うと?
〜〜〜
1.スピーチ挨拶の呼び名:学校長挨拶
2.スピーチ挨拶の当事者(私,私たち)は誰?:学校長と教職員
3.卒業式における立場:主催者
4.主として誰に聞かせるの?:児童生徒、保護者(あるいは父母,父兄)たち、来賓
5.用紙は何が良いの?:文書作成ソフトで作り印刷しても、手書きでも、用紙なし(暗記して)も可
6.挨拶後、用紙はどこへ?:持ち帰る
7.もし、一言だけで言うと?:卒業式なら「おめでとう。今日までよく頑張って勉強してきましたね。」、入学式なら「おめでとう。これからしっかりと学んでください。」
〜〜〜
1.スピーチ挨拶の呼び名:PTA会長祝辞またはPTA会長挨拶
2.スピーチ挨拶の当事者(私,私たち)は誰?:教職員と保護者(あるいは父母,父兄)たち
3.卒業式における立場:共催者
4.主として誰に聞かせるの?:児童生徒
5.用紙は何が良いの?:式辞用紙に毛筆(学校によっては、文書作成ソフトで作り印刷しても、手書きでも可)
6.挨拶後、用紙はどこへ?:持ち帰る(学校によっては収める)
7.もし、一言だけで言うと?:「おめでとう。」
〜〜〜
1.スピーチ挨拶の呼び名:保護者代表謝辞
2.スピーチ挨拶の当事者(私,私たち)は誰?:保護者(あるいは父母,父兄)と児童生徒
3.卒業式における立場:祝ってもらい、感謝する側
4.主として誰に聞かせるの?:教職員と来賓
5.用紙は何が良いの?:式辞用紙に毛筆(学校によっては、文書作成ソフトで作り筆字調フォントなどで印刷しても可)
6.挨拶後、用紙はどこへ?:学校に収める(学校によってはその必要なし)
7.もし、一言だけで言うと?:卒業式なら「「おかげさまで子どもたちが卒業できます。今日までありがとうございました。」、入学式なら「このような盛大な入学式を催していただき、感謝いたします。これからよろしくお願い致します。」
〜〜〜
1.スピーチ挨拶の呼び名:来賓挨拶
2.スピーチ挨拶の当事者(私,私たち)は誰?:市区町村の議員や学校教育担当の役職者など
3.卒業式における立場:お客さま
4.主として誰に聞かせるの?:児童生徒、教職員と保護者(あるいは父母,父兄)たち
5.用紙は何が良いの?:文書作成ソフトで作り印刷しても、手書きでも、用紙なし(暗記して)も可
6.挨拶後、用紙はどこへ?:持ち帰る
7.もし、一言だけで言うと?:「おめでとう。」
〜〜〜
このようにPTA会長と保護者代表、来賓の挨拶では立場が微妙に違います。中学生の父母の方は小学生のときに、小学生の父母の方は幼稚園,保育園のときに、あるいは、兄姉のときや過年度などに保護者代表謝辞を担当したけれど、今回はPTA会長祝辞を述べるとか、また、普段は卒業式や入学式に来賓として呼ばれる方は、特に立場の違いに注意が必要です。
入学式,卒業式のPTA会長祝辞あいさつで例文を活かすポイントとコツ
入学式,卒業式の祝辞挨拶文を一から作成する場合は、次のポイントを抑え文章の中に盛り込む必要があります。
- 話材(話しのネタ選び)
- 着眼点・目線(主観の置き位置)
- 話しの動線(展開)
ところが、挨拶文というものは、普段から問題意識を持って集めていないと、話材(話しのネタ)をはじめとして急ごしらえ感が出てしまいます。
そこで例文を得ることになります。しかし、そのままコピーしてきて読むだけだとしたら、聞いている卒園児,卒業生,入学児,入学生、父兄、先生方、来賓にとっても、まったく感動がないスピーチです。例文を得たら、次のポイントを見取って抑えます。
- 自身の立場と同じ例文か? 例えば、先述のように「父母代表(保護者代表)謝辞」と「PTA会長祝辞挨拶」ではスタンスが違います。
- 子どもたちにも分かりやすい言葉で、かつ、父母として相応しい大人言葉で。
- 例文のモノマネ感や継ぎ接ぎ感が出ないよう掘り下げる。自分の立場や言葉、トーンに置き換える。
- 繁雑にならないよう(ごちゃごちゃしないよう)父母として相応しい大人言葉を使う。
- 定められた時間に収まるように原稿を作成。
入園式,入学式や卒園式,卒業式の祝辞例文を活用した書き方のポイントを解説
入園式,入学式や卒園式,卒業式の祝辞例文を活用するにあたり、記されている内容と現状のギャプを知りましょう。
まず、言えることは、例文というのはあくまで参考例、あるいはギリギリの内容です。お手本ではありません。テンプレート配布と謳っているサイトから取得した文例は特に要注意です。通常テンプレートと呼ばれるものは単なる骨組みです。むしろ「私は入学式でこの祝辞を読み上げました。」という個人ブログのほうが、真に迫った説得力があったりします。
いずれにせよ、例えば著者名や出版社名が明らかな本から引用してきたにせよ、使用する場合は自己責任となります。本に書かれているサンプルは広く流用されていますし、ネタが古い可能性があります。
このため以下の注意点を考慮すれば、ご自身なりの「PTA会長の祝辞スピーチ挨拶文」として相応しく、納得いく内容に近づいていくことでしょう。
書き方のポイント1. 誤字脱字、格助詞「てにをは」や敬語など、日本語としての間違いがないかをチェック
ありがちなのは、敬語自体の間違い、二重敬語、丁寧語と尊敬語の違い、トーンが違う敬語の混在などです。二つ以上から気に入った箇所を混ぜて使うような場合は特に注意が必要です。
「ご来賓がご臨席」「申される」などは見過ごしがちなので、要注意です。
文体が硬過ぎる、逆に砕け過ぎている場合もあります。ご自身のキャラクターに合わせたものにする必要があります。
書き方のポイント2. 居住地域の実情に適合しているか
小学校や中学校といえば、公立のみという地方も日本には沢山あります。このような地域では、小学校数校から一つの中学校へと進学するような学区割になっています。また、国立の小学校や中高一貫校などは謝辞や祝辞も独特の雰囲気があります。
卒業式や入学式の時期に、文例中に記された季節の挨拶が学校の所在する地方の実情に適合するかどうかをチェック。
例えば、卒業式や入学式において、季節の挨拶で良く使われる「桜」に関する表現は、すでに桜が散ってしまっている地方やまだ咲かない地方では、言い換える必要があります。校庭に土のない学校では、「校庭の緑」というような表現は実情に合いません。
文例を書いた人が居住する地方独特の表現や方言などに注意。
例えば中京周辺で共通して使われる語に「~してみえる」という敬語がありますが、他の地方でそのまま使うと違和感があります。
また、重要な局面では必ず引用される地元出身の偉人が遺した名言も、例文を参考にする方が居住する地方では理解されなかったり、敵側として対峙した地方では引用するのが不適切な可能性があります。
書き方のポイント3. あいさつを聞く年齢層が、身にしみて感じとることができるエピソードか?
例えば、あいさつの中に自然災害についてのエピソードを入れるとしましょう。本稿執筆(平成29年)時点で小学校卒業生の年次以上であれば、2011年東日本大震災や2016年(平成28年)熊本地震の発生、それ以降の復興関連エピソードは、リアルに感じとることができるでしょう。しかし、1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災については生まれる前の出来事であり、リアリティがありません。もちろん、学校所在地との遠近や被った影響の多寡により、卒業式や入学式に際しての教訓となりうる地域かどうかが変わってきますし、エピソードとしての価値も違ってきます。
一方、第二次世界大戦については、歴史の教科書に大書されているのみならず、国民全体の生命財産を揺るがしたあまりにも大きい出来事なので、卒業生と同じ年頃に学校生活を過ごした祖父母の世代から、父母が直接聞いたエピソードとして話すのであれば、リアリティある話題となります。
あいさつ文の構成については次の動画が参考になります。ピックアップしているのは、文例のタイトルとしては「卒園式保護者代表謝辞」ですが、スピーチ挨拶文としての構成は卒業式や祝辞についても同様です。
スピーチ挨拶文の原稿がどのような構成になっているのかについて、この動画を観れば分かるようにまとめてあります。
毛筆による式辞用紙への祝辞,謝辞の書き方
式の後に祝辞,謝辞用紙を園や学校に収める必要がある場合には、原稿が完成したら和紙製の式辞用紙へ毛筆で書き記します。印刷した祝辞,謝辞で良い例においては、この限りではありません。
さて、式辞用紙へ毛筆で書き方についての注意点は沢山ありますので、ポイントだけを列記します。
- よほど毛筆に慣れている人以外は、罫線付きの下敷きをしいて用紙に書く。
- 墨の濃さが途中で変わらないよう、墨はたっぷりと擦っておく。
- 丁寧に書く。
- 上下左右の余白はほど良く。
- 行頭を揃える。
- 字の大きさ、字間、行間を揃え、字配りを良くまとめる。
- 行の中心線にしたがって、横揺れやねじれがないように
文字が罫線からはみでないように書く。 - 上包みは奉書紙を使用。市販の式辞用紙にはたいてい付属しています。
このサイトをご覧の方は、例文そのままのような間に合わせで作ったような内容ではなく、「少しでも良いスピーチ原稿を作りたい」とか、「洗練された感じの挨拶と高望みはしないけど、父母代表としての体面はきちんと保ちたい」とか、「一応完成したけれど、より感動を誘うような祝辞にしたいので、あれこれ模索している」という状態かも知れません。
冒頭に記す季節の挨拶から、文字数、構成、句読点の打ち方、毛筆による清書まで、祝辞,謝辞スピーチ原稿の書き方でお悩みが生じたら、どの段階からでもプロのハートとノウハウで添削や補筆、あるいは代筆し、一緒に祝辞,謝辞あいさつ原稿を作成して完成へと結びつけます!
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